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2018年度の売電価格は?太陽光発電の売電価格について

2019.03.05太陽光

太陽光発電のメリットは環境への配慮、エネルギー自給率の向上、そして電力を売ってお金に変えられるところではないでしょうか。ところで売電についてですが、あらかじめ価格が決まられており、年々変更される特徴があります。今回は、売電価格を知るうえで欠かせない電力単位と売電の種類をご紹介。2012年度売電価格~現行の2018年度売電価格、そして2019年度売電価格の予測についても触れていますので、ぜひ最後までお読みください。

電力単位と表記について

太陽光発電の売電価格を知るには、まず「W」「KW」「kWh」などの単位の意味を押さえておく必要があります。混同しないよう、それぞれの意味を正確に理解しましょう。

W=ワット

生活で使用する電化製品などを動かす電力のことを、ワットといいます。それでは、そもそも電力とはどんな性質のものでしょうか?

電力を説明するうえで、分かりやすいたとえが「蛇口」です。水道水はハンドルをひねって蛇口から注がれます。ハンドルを回す回数が同じでも、蛇口が大きければ流れる水の量は増し、反対に小さければその分流れる容量も減ってしまうでしょう。これは、水を流すための力が、蛇口の大きさによって左右されることを意味します。

ふたつの蛇口から同時に水を出す場合、流れる水の強さが同じだとすれば、蛇口の小さいほうから先に水が流れます。これは、出す量が少ない分、それに要する力も小さくて済むからです。反対に、大きな蛇口では水を流す量が増える分、それに伴ったパワーが必要となります。
電気の場合も、これと同様のことがいえるでしょう。大きな電気機器ほど、それを動かすための力も大きくなります。その力こそ、「電力=ワット」なのです。


Wの表記

ワットの表記は大きさによって次のように変化します。

・1kW(キロワット) =1,000W
・1MW(メガワット)=1,000kW=1,000,000W
・1GW(ギガワット)=1,000MW=1,000,000kW=1,000,000,000W

おそらく、日常生活で目にする表記はkWまでとなります。太陽光発電の売電価格を計算するとき、使用するのはkWまでと考えてよいでしょう。

「WH」=ワットアワー

「Wh」(ワットアワー)という表記もよく見かけるでしょう。ワットが電気を生み出す力を意味するのに対し、ワットアワーは「1時間あたりの電気使用量」のことです。つまり、電力量のこと。この数値は以下の公式で求めます。

・電力(W)×時間(h)=電力量(Wh)
・500(W)×2(h)=1,000Wh(500Wの電化製品を2時間使用した場合)

表記を統一すれば、「0.5(kW)×2(h)=1kWh」となります。

太陽光発電の売電価格とは?

太陽光発電事業者は、電力を電力会社に売ることで利益を得ます。この取引価格がいわゆる「売電価格」です。電力会社が事業者から買い取る電力は、通常使われる電気よりも高額な買取価格で取引されます。

「同じ電気なのに、なぜ事業者が売る電気だけ高額になるの?」と思われるかもしれません。実は、通常電気より高くなる電力費用は、国民が月々支払う電気料金の中で負担しています。電力会社から送られてくる請求書を見ると、「太陽光促進賦課金」という項目を見たことがあるかもしれません。つまり、国民から集めた電気料金が原資となって、売電の取引に使われているのです。

ちなみに、この売電価格は「1kWhあたり○○円」と表記されます。つまり、事業者が売却する電力は、kWh単位で取引されていることになります。

売電の種類について

太陽光発電の売買制度ですが、大きく分けて「余剰電力買取制度」と「全量買取制度」のふたつがあります。

「10㎾未満」=余剰電力買取制度

余剰電力買取制度とは、主に自家発電用を目的として導入した10kW未満の太陽光発電を対象とする買取制度です。自宅で使用するための電力を発電し、使い切れなかった余剰電力は電力会社に売却できます。余剰電力が大きければ大きいほど売電価格が高額となるため、省エネ生活を心がければ大きなメリットを得られるでしょう。

この制度の売電期間は、太陽光を設置してから10年間固定となります。気をつけたいのが、11年目以降の売電について。現行では、その後の売電価格が決められておらず、売電の可否すら分かりません。そのため、太陽光発電を設置する際は最初の10年間で設置費用を下回らない収益を生み出すための運用計画が求められるでしょう。

「10㎾以上」=全量買取制度

全量買取制度とは、個人や法人が事業目的で導入する10KW以上の産業用太陽光発電を対象とする買取制度です。10KW以上の太陽光発電の設置においても、余剰買取制度の活用は可能ですが、売電価格に対しては全量買取制度が適用されます。

広い土地や工場、マンション・アパートなどの屋上に取り付けるのがメインです。「野立て」という言葉を聞いたことがあると思いますが、これは空いた土地を利用して太陽光発電を導入する収益方法です。

自家発電タイプに適用される余剰電力買取制度との最大の違いは、発電したすべての電力を売却するところ。また、この制度の売電期間は20年間で、住宅用と比べ償還期間が2倍となります。これには、再生可能エネルギーの普及を急ぎたい国の政策が背景にあり、結果的にシステムのオーナーが得をする仕組みとなっています。

国が再生可能エネルギーの普及を急ぐ理由として、先進国の中でも資源エネルギーの自給率が極端に低い点が挙げられます。ちなみに、日本のエネルギー自給率は4.4%。この数字を見れば分かる通り、日本はエネルギーのほとんどを海外に依存している状況です。この現状課題の解決には、太陽光をはじめとする自然エネルギー技術の進歩と普及が不可欠といえるでしょう。

2012年度~2018年度の売電価格変更の推移と2019年度の売電価格予想

毎年変更される売電価格ですが、固定価格買取制度が制定された2012年度(平成24年度)~現在の2018年度(平成30年度)の売電価格の推移を見ていきましょう。経済産業省の調達価格等算定委員会が発表した委員長案をもとに、売電価格を比較してみます。

【2012年度(24年度)~2014年度(26年度)の出力要件別売電価格】

申請出力 10KW以上 10KW未満 10KW未満
(ダブル発電)
調達期間 20年 10年 10年
24年度 40円+税 42円 34円
25年度 36円+税 38円 31円
26年度 32円+税 37円 30円

【2015年度(27年度)~2016年度(28年度) 出力要件別売電価格】

申請出力 10KW以上 10KW未満
余剰買取 ダブル発電・余剰買取
出力制御対応機器設置義務なし 出力制御対応機器設置義務あり 出力制御対応機器設置義務なし 出力制御対応機器設置義務あり
調達期間 20年 10年 10年 10年 10年
27年4/1〜6/30 29円+税 33円 35円 27円 29円
27年7/1〜 27円+税 33円 35円 27円 29円
28年度〜 24円+税 31円 33円 25円 27円

【2017年度(29年度)~2019年度(31年度) 出力要件別売電価格】

申請出力 10KW以上
2,000KW未満
2,000KW以上 10KW未満
余剰買取 ダブル発電・余剰買取
出力制御対応機器設置義務なし 出力制御対応機器設置義務あり 出力制御対応機器設置義務なし 出力制御対応機器設置義務あり
調達期間 20年 20年 10年 10年 10年 10年
29年度 21円+税 入札により決定 28円 30円 25円 27円
30年度 18円+税 入札により決定 26円 28円 25円 27円
31年度 未定 未定 24円 26円 24円 26円

この表を見れば分かる通り、年々売電価格が下がってます。31年度の10KW以上の価格は31年2月現在確定しておりませんが14円前後だと予想され2018年度の18円に比べると約22%程売電単価が下がっています。22%売電単価が下がった場合太陽光発電設備投資額に関しても22%程安いものを探さないと利回りが下がってしまいます。現在は売電単価の下落と比例してパネル、パワーコンディショナー、工事の人件費等が安くなる事にも限界があると考えられます。今後も下落の傾向が続くと考えられ、太陽光投資に興味ある場合は早めの導入をおすすめします。

太陽光発電を「投資」という観点で見れば、世の中の数ある投資の中でも、再生可能エネルギー案件は圧倒的に低リスクであるといえます。導入時の初期費用を抑え、正しい運用計画のもと事業を進めれば、かなりの確率で10%前後の利回りを得られるでしょう。

何より、国が注力事業としてバックアップしている面が大きいです。買取制度が続く限りは、電力を固定価格で10KW未満、余剰売電は10年、10KW以上は20年買い取ってもらえることが確証済みで、発電量を向こう10年~20年はパネルメーカーが保証してくれるところも大きなメリットです。さらには、事業運営の原資は先述の通り、国民負担による「再生可能エネルギー賦課金」によって支えられています。リスク分散の制度環境がある点が他の投資にはない魅力でしょう。

銀行の予定金利でさえ、0.001%の時代、低リスクで20年利回り保証の商品はそうありません。投資家からすれば、ぜひ買っておきたい優良案件ともいえるのです。

まとめ

平成29年4月に改定された固定価格買取制度によって、価格の先行き見通しもある程度容易となりました。予想としては、今回の改定を足がかりに、改善に向けた制度の追加・規制の強化が進むでしょう。導入を検討中であれば、リスクの少ない現段階での事業スタートをおすすめします。